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鴻池朋子展「皮と針と糸と」新潟県立万代島美術館
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鴻池朋子展「根源的暴力Vol.2 あたらしいほね」群馬県立近代美術館
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鴻池朋子個展「根源的暴力」神奈川県民ホールギャラリー
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作家ステイトメント「根源的暴力」
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高嶋英男個展「空壺の人」
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リマッピング日比谷プロジェクト2014 都市と森の境界に現れるアート
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美術館ロッジプロジェクト 森吉山小屋  壁画設置作戦&報告会「森吉山小屋と雪の女王」
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目に見えないものと対話する方法「精霊の学校」
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鴻池朋子  Wild Things−Where Masters of Ecstasy Are
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鴻池朋子 Earthshine:Artist Statement
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鴻池朋子 Earthshine:Gallery Wendi Norris(San Francisco)
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大小島真木『遺伝子の地図ーChanting genes』
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大小島真木「The Knock」Vol.3
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大小島真木「The Knock」Vol.2
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大小島真木 遺伝子の地図 − chanting genes
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大小島真木「The Knock」Vol.1
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美術館ロッジ 作戦4「舟、森吉山小屋へ到着!」
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美術館ロッジ 作戦3「舟、森吉山を登る」3/13
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美術館ロッジ 作戦3「舟、森吉山を登る」初日(3/12)
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美術館ロッジ  作戦3「舟、森吉山を登る。」
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美術館ロッジ 森吉1•2作戦
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動く人間 04 : 福森伸
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ULTRA   3 New Artists
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動く人間 03:笹尾千草
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作者不在トークセッション Document <PART 1>
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作者不在トークセッション Document <PART 2>
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作者不在トークセッション Document <PART 3>
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作家は何も気づいていない Picnic at Hanging Rock
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東恩納裕一 After the Picnic
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ミミオ図書館&試写会 in 東京
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隠れマウンテン&ヴォルカノイズ Vol.2
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隠れマウンテン&ヴォルカノイズ Vol.1
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作家ステイトメント「根源的暴力」

 2009年の東京オペラシティの大規模な個展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』から現在に至るまでの6年間、そして3.11の震災から私は、明らかに変容する自身の身体感覚と日本人全体の意識の変化を敏感に感じとり、積極的に美術の外に移動し、東北の山村を歩き、人類学、民俗学、考古学の方々と対話し、中心から周縁にある物語を丁寧に収集する旅をしてきました。そして現在も人間と野生の境にある秋田県森吉山避難小屋での『美術館ロッジ』や、歴史には記されない現代の民俗を記録する『物語るテーブルランナー』プロジェクト、一方、開発と地形の問題からパブリックアートの制作を続けています。まさに現代は近代以降に輸入された美術から、確実に転換期にいるといってよいでしょう。今回の展覧会ではこれまでの体験を糧とし、またかつての狭義的な美術神話を脱し、人間が地上に出現し、言葉を獲得し、山を出て文化を形成した素朴で力強い場所まで立ち戻り、なぜ人間は自然を侵犯し文明をつくるのか、その根源的暴力について、ものをつくるたった一人の手から考えます。

 

 今回私は過去の作品を全て精算し、一から技法を習得するように新たな素材や表現に取り組みました。牛皮を縫い合わせてつくられた20数メートルに及ぶツギハギの皮画面に描かれる絵は、「絵画」という概念を一度ぜんぶ裏返し、その内蔵を外気にさらす試みです。またたくさんの原始生命のような粘土たちは、博物館から借用する旧石器時代の石器、呪具類と同列に並べ、人間の経済的活動に収集されない純粋贈与とアートとの関係を探ります。アートコンプレックスでは人間の音「声」に注目し、動物の鳴き声から言葉への変容を実験したいと思います。そして、サイエンス(科学)フィクションを読み過ぎた大人たちの影で、秘かに息づいてきた、「おとぎ話」オーラル(口伝)ワンダーテールが会場全体に通奏低音となって響き、かつて山にいた頃の人間の痕跡を赤裸々にしてゆきます。このように私の最近の行為は、美術の外へ、まるで文明から山という野生へ還ろうとする一匹の動物のようです。今回はその人間としての大きな矛盾に、全新作をもって全力で挑む所存でおります。

 

 ここ数年間、今ほど私たちは自然の驚異を痛感させられる時はありませんでした。特に震災後の原発問題と放射能による目に見えない世界という異界と関わることは、「視る」ということが次の領域に入ったということを感じざるをえません。例え作家が変わらなくとも、確実に観客の眼は変わっています。それは日本だけではなく、地球規模で変革期を迎えていることであり、人間が野生とどのように対話してゆくのかを世界中で悩み探っています。アートは絵画や彫刻という形式でもなく、また美しさ、新しさという方向のベクトルだけでもない、重層的で矛盾する人間特有の表現であり、誰にでも存在する位相です。またアートは辺境の地の町興しという方便でもありません。人間がものをつくり生きていくということは、自然に背く行為であり、根源的な暴力です。この展覧会は、その根源的暴力を正面から見つめ、 なぜ人は“つくる”のか、というアートの根本的な問いに、考え、悩む展覧会にしたいと思います。

 

鴻池 朋子

 

 

>>鴻池朋子個展「根源的暴力